通信容量の爆発的な増大を受けて、波長分割多重(WDM)通信用光ファイバ増幅器に関する研究が盛んに行われている。伝送用シリカファイバの低損失領域は1.4mm〜1.7mmであり、WDMネットワーク実現のためにはこれらの帯域全てにわたる増幅器の開発が不可欠である。1530〜1600nm帯(C+Lバンド)はEDFAによりカバーされているが、短波長側(S-バンド)における1.4mm帯増幅材料の候補のひとつとしては、Tmドープ光ファイバ増幅器(TDFA)が提案されている。TDFAの1.4mm増幅における発光始準位であるTm3+:3H4準位は、直下の3H5準位とのエネルギーギャップが比較的狭いため、高い発光効率を得るにはフォノンエネルギーの低いガラスホストが必要である。現在ZBLAN系フッ化物ファイバがホスト材料としてとして用いられているが、発光線幅が狭く、また1490nmより長波長側では利得が得にくい。そのため、EDFAによる利得帯域とのギャップが1530nmまで空いており、より低損失な波長域である、Sバンドのアンプが望まれている。一方で、ホストとなるガラスの耐久性がファイバ化を考える上では重要になる。これらの条件を同時に満足できる可能性のある材料として、オキシフルオライド透明ナノ結晶化ガラスの作製をおこなった。このハイブリッドナノ材料は、ガラス全体としては酸化物ガラスの耐久性を有し、同時にドープされた希土類イオンは熱処理によって析出するフッ化物ナノ結晶相に取り込まれる。すなわち発光中心である希土類は、フッ化物結晶に特有な低フォノンエネルギーの配位子場中に置かれる。本研究では、フッ化物結晶源としてPbF2、LaF3を含んだガラスを作製し、これにTm3+イオンをドープして熱処理過程における発光特性の変化を追跡した。また、低温で蛍光スペクトルを測定することにより、ZBLAN系フッ化物ファイバによるTDFA(1450〜1490nm、S+バンド)よりも長波長領域で使用する1490〜1520nm帯(Sバンド)光増幅器としての可能性を探った。

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