熱プラズマの応用分野を学術的観点から整理すると、その大部分は熱及び物質移動及び高温化学反応に集約される。他方、熱プラズマを発生させる手段としては直流アーク放電及び高周波誘導結合放電が主であり、利用される場としてはプラズマフローが基本となるため、「熱プラズマの応用」は「熱プラズマフローの応用」と考えるべきものである。その意味で燃焼炎の応用に類似する部分が多々ある。事実プラズマ発生部をトーチと呼ぶのはその類似性を物語っている。要するに、放電部そのものを利用する場合も無くは無いが、応用には常に「流れ」を考慮する必用があり低圧プラズマの応用とは考え方を本質的に変える必要がある。結果として、熱プラズマプロセシングの主眼は、燃焼炎では得られない超高温ガス流としての有効利用に置かれ、単なる加熱媒体としてのみならず、加熱、冷却過程での特異な化学反応の利用による新たな分野への展開が意図されてきた。しかし、熱プラズマは本質的に通電路以外での磁場制御が困難なため流体力学的制御に頼らざるを得ず、スケールアップを必要とする産業応用に関しては、プラズマ制御の観点から克服されるべき課題が数多く残されている。特に、問題を複雑にしているのは、当然のことではあるが、電源・トーチ・プラズマは独立なものではなくシステムとして考える必要があり、スケールアップに関しては各要素の開発のみならず、システムとしての開発が必須となることである。他方、熱プラズマの産業への応用の問題は、対象物の処理量によって異なるのは明らかである。プラズマ粉末溶射が熱プラズマ応用現在技術の中核を成すのは処理量が高々1Kg/h程度であれば良いことと無縁ではなく、最近報告されているフロン分解でようやく100Kg/hが達成され画期的成果と評価されている。逆に言えば、粉体、液体、気体に関する処理量で各々1Kg/h、10Kg/h、100Kg/h程度で経済性を有しかつ産業に有益な応用分野があれば100kWレベルのプラズマ出力の熱プラズマシステムの適用が可能であり、現在技術を基に完備された熱プラズマシステムを開発することは可能であると言える。この背景には程度の差はあれシステムを構成する各要素に関する工学的裏付けがあることを挙げておきたい。しかし、多くの産業分野では処理量を少なくとも更に1桁上げることを要求しており、そのためには1MWレベルのプラズマ出力を基本とする熱プラズマシステム開発を目指した広範な研究体制が必用である。当然、その達成には時間と多額の資金が必用であり、将来、産学の国家プロジェクトにでも採用されない限り相当の困難が予想される。幸い、昨年度よりMETI/NEDO支援による「ナノコーティング」が開始され、一歩前進の状況にある。
以上を背景として、本講演では熱プラズマCVD、熱プラズマPVD、熱プラズマ溶射に関する研究の流れと、最近のトピックスについて紹介させて頂く。熱プラズマプロセシングの産業への応用展開が可能か否かについて議論願えれば幸いである。

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