物質が外部の刺激に応答して、色が変わる現象であるクロモトロピズム(色彩応答)には、サーモクロミズムやピエゾクロミズムなどが典型的なものとして知られている。そのうち、4から7個の3d電子をもつ金属錯体を対象したものに、スピン状態の転移現象を伴うスピンクロスオーバーがある。その双安定性を利用した分子メモリーなどの分子素子として可能性があることから、現在ヨーロッパを中心に、基礎研究のみならず、実用化に向けた開発研究が行われている。また、スピンクロスオーバー錯体が、光に誘起されて準安定状態に転移する、いわゆる光誘起励起スピン状態トラッピング(LIESST)の基礎研究も盛んで、その実用性も期待さてれている。さらに、光と磁場に応答する磁気光学効果には、MOやMDなどの実用例があるが、その中で、まだ実用性が見いだされていない現象がある。本講演では、このような金属錯体に期待される光と磁気が関与する分子材料の可能性に関する最近の話題を紹介する。
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