半導体ナノ粒子は、量子サイズ効果の発現によって、化学組成は全く同じであっても、粒子の形状・サイズに依存したユニークな物理化学特性を示し、光デバイス、生体分子マーカーなどへの応用が活発に研究されている。本講演では、化学的手法を用いる半導体ナノ粒子のサイズ・粒子形状の精密制御法を紹介するとともに、得られたナノ粒子の光機能材料(光触媒・発光材料)への応用について述べる。コア・シェル構造をもつシリカ被覆硫化カドミウムナノ粒子(SiO2/CdS)に、溶存酸素存在下で単色光照射すると、コアであるCdS粒子のみが選択的に光エッチングされ、シェル内部にナノメートルサイズの空隙が形成された(ジングルベル型構造体)。得られたSiO2/CdS複合体粒子は、光触媒として働き、その活性はコアであるCdS粒子サイズの減少により増大した。また、ニトロベンゼンの光還元反応に用いると、アゾキシベンゼンが選択的に生成することを見いだした。一方、低毒性の元素のみからなるCuInS2やAgInS2などのI-III-VI2族半導体は、可視光領域に幅広い吸収帯を持つことから、太陽電池や光触媒への応用が注目されている材料であるが、これらの材料についてのナノ粒子合成はあまり報告例がない。私たちの研究グループでは、金属錯体を有機溶媒中で熱分解することよって、ZnS-AgInS2固溶体からなる新規低毒性半導体ナノ粒子を作製することに成功した。得られた固溶体ナノ粒子は正方晶系の結晶構造を持ち、Zn含有量の多い前駆体を用いることで、ZnSの組成割合が大きくなることがわかった。この粒子は紫外光照射により強く発光し、その量子収率は最大で24 %に達した。さらに、発光色は粒子組成に依存し、ZnSの含有量が増大するにつれ、赤色から緑色に変化した。
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