n共役系は、1930年、こんにちHuckel分子軌道法とよばれる手法がErichHuckelによって適用されて以来、現在に至るまで分子軌道法の重要なターゲットである。しかしながら、その長い歴史にも関わらず、n共役系の電子構造、特に、励起状態の電子構造は現在でも十分に明らかにされているとは言い難い。その理由は、n共役系の電子相関の取り扱いの難しさにある。n共役系には、骨格を形成するσ電子と動きやすいn電子が存在する。動きやすいn電子は、励起状態では別のn軌道に励起し近接(擬縮退)電子配置を生成する。また、このn電子は電子間の衝突によってσ軌道にも励起する。これら,n-n相互作用に由来する静的な電子相関(擬縮退効果)とn-σ相互作用に由来する動的な電子相関のいずれもが重要である。従来、半経験的な手法で使用されてきたPariser、 Parr、 PopleによるPPPハミルトニアンは、n-n相互作用しか含まず、一方、現在の主要な方法である密度汎関 数理論(DFT)は、主にσ-π相互作用しか含まない。我々の研究室では、これまで、静的な電子相関と動的な電子相関をバランスよく取り入れる分子軌道法として、多配置の波動関数によって静的な電子相関を取り入れ、摂動論で動的な電子相関を取り入れるGMC-QDPTとよばれる多配置摂動論を開発してきた。本講演では、これをポリエン、ポリシアニン、ポリメロシアニン、ポリアセンに適用した結果について述べる。特に、これらの結果を相互に比較したときに明らかになる系統的な電子状態について着目したい。
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