シリンダー状ミクロ相分離構造を形成するスチレン/ブタジエン/スチレン、あるいは、スチレン/エチレンブチレン(水添ブタジエン)/スチレントリブロック共重合体を試料に用いた実験によって、我々が最近発見した下記の驚くべき自己組織化能力についてご紹介する。これらのメカニズムについてはまだまだ推測の域を出ず、是非ともシミュレーションの威力におすがりしたいところでもある。
・フィルム面に対する自発的平行配向化と自発的無配向化についてあらかじめ流動場を印加してシリンダーをわずかに配向(フィルム面に対して流動場印加方向は平行で、シリンダー軸はそれら両方に対して平行)させた試料を作製する。この試料をフリーな状態で(すなわち、流動場は印加せずに)室温から徐々に昇温させていくと、シリンダーの配向が自発的に向上するが、ある温度で急激に無配向化した。ヘキサゴナルな配列は局所的には保持されたままであった。つまり、この温度はまだ、ミクロ相分離構造が融解してはいない温度である。にもかかわらず、高配向平行シリンダーは勝手に自発的に無配向化したことを意味している。2000気圧までの高圧下でも実験を行ったが、ミクロ相分離構造が融解する温度よりもずっと低温でシリンダーは自発的に無配向化することがわかり、それらの温度格差は圧力とともに増大する傾向にあることもわかった。
・フィルム面に対する自発的垂直配向化と自発的無配向化について本来、熱力学的安定状態ではシリンダー構造を形成する試料を、選択溶媒を用いて溶液キャストする(溶液状態から溶媒を徐々に蒸発させて絶乾すると試料膜が得られる)と、凍結された非平衡な球状構造が得られる場合がある。そのような試料を成分ポリマーのガラス転移温度以上の温度で熱処理すると球が合体して平衡安定なシリンダー構造が得られるが、このようにして得られるシリンダーは膜面に対してほぼ垂直に配向した(これは、トリブロックポリマーで得られた結果であるが、ジブロックポリマーでも同様の傾向は確認されている)。その後、さらに昇温していくと、ある温度で急激に無配向化した。ヘキサゴナルな配列は局所的には保持されたままであった。つまり、この温度はまだ、ミクロ相分離 構造が融解してはいない温度である。にもかかわらず、高配向垂直シリンダーは勝手に自発的に無配向化したことを意味している。 以上の結果を総合すると、高配向シリンダーは、それが垂直配向か平行配向にかかわらず、ミクロ相分離構造が融解する温度よりもずっと低温でシリンダーは自発的に無配向化するという特徴を有している、と結論できる。

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