自動車排ガス浄化用の貴金属触媒は1970年代後半に実用化され、車の一生涯無交換で使用される。1990年以降の全世界的な排ガス規制強化に対応するため、貴金属の多量使用による供給不安を引き起こし、他産業へ多大なる悪影響を及ぼしていた。新しい技術開発による自動車用途での貴金属使用量の大幅な削減が、社会的な使命となっていた。われわれは全く新しい概念によりインテリジェント触媒を開発した。これはペロブスカイト酸化物の結晶中に貴金属をイオンとして配位することにより、自動車排ガス中で自己再生する能動的な機能を与えようという触媒設計による。その結果、高温での貴金属粒成長による劣化は抑制され、いつまでも触媒活性が持続することにより、貴金属の大幅削減が可能となった。この自己再生メカニズムは日本原子力研究所との共同研究により、スプリング8のシンクロトロン放射光を用いて解明した。自動車触媒の概要と課題、新しい発想につながるヒント、インテリジェント触媒の特性と自己再生機能の証明、将来展望について解説する。
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