触媒は社会の持続的発展の鍵である。計算化学が触媒開発に果たす役割は大きい。開発の現場で使う道具には結果が手軽に早く得られることが求められる。開発では実験と計算の対話が間延びしては仕事にならないからである。藤本らは分子同士(触媒と基質)は反応の際に相互に電子の授受を行う反応軌道を生み出すことを軌道相互作用原理に基づいて明らかにし、“Paired Interacting Orbitals”(PIO)を用いる反応の解析法を提唱した。我々はこの理論に基づいてWindow's版触媒反応解析用ソフト”LUMMOXTM”を開発した。MO計算には拡張ヒュッケル法を用いるので結果が非常に短時間に得られ、ハードはパソコンなので実験室の傍らでも容易に使える手軽さが最大の特徴である。ここでは以下の三例を紹介する。
1)反応の理解
 「シクロヘキサノンオキシムの気相ベックマン転位はなぜ進行するのか」
2)触媒性能の予測
 「メタロセン触媒によるプロピレンの重合:分子量の予測」
3)反応経路の探索
 「フェノール類の位置選択的酸化カップリングの経路探索」
LUMMOXの手軽さを知っていただければ幸いである、と同時に拡張ヒュッケルMOに基づく限度も心得て置かねば成らない。そのために藤本博先生、菱化システム(株)殿にご尽力いただいたPIO研究会について最期に簡単に触れさせて頂く。

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