細菌は河川,海洋,土壌など地球環境の至るところに存在することから,生命を含めた地球環境の根幹を形成していると言っても過言ではない.環境中の細菌は極めて多様であり,これら細菌のもつ多様かつ膨大な遺伝子群で満たされている環境は,巨大な遺伝子プールと捉えることができよう。この環境中の遺伝子プールを解析する極めて有効な手段のひとつが,細菌叢を培養に依存することなくまるごとゲノム解析する「メタゲノム解析」である。 しかしながら,「メタゲノム解析」という名称から,ゲノム解析の延長線上にあるとの勘違いが横行し,「今更それほどゲノム解析は重要ではない」などの,むしろ否定的な声を上げる研究者も少なくない.確かに今後のバイオサイエンス,地球科学などにおける最も重要な基盤を形成するという意味では,ヒトおよび微生物を含む各生物種のゲノム計画と同様であるが,メタゲノム解析はこれまでのゲノム解析とは概念から大きく異なっている。では,ゲノム解析とメタゲノム解析は一体何が違うのか?本講演では,ゲノム解析からメタゲノム解析へのパラダイムシフトを話題の中心にして,ヒト腸内フローラのメタゲノム研究を例に挙げ,メタゲノム解析におけるバイオインフォマティクスの重要性,さらには今後期待される研究成果に関して述べる。
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