最近層状ホスト化合物の単層剥離により、厚さ約1 nmの極薄2次元結晶、すなわちナノシートの合成が盛んに研究されている。我々は、酸化チタンなどのナノシートを2次元機能ブロックとして捉え、液相プロセスを介して累積、組織化することにより様々なナノ構造材料の合成とこれを通じた機能開発を目指した研究を進めている。 層状遷移金属酸化物Cs0.7Ti1.825O4, K0.45MnO2, KCa2Nb3O10など)を固相合成法などにより合成し、その層間に嵩高いゲスト、例えば4級アンモニウムイオンをインターカレーションすると、適切な条件のもとでは層状構造の層1枚に相当する酸化物ナノシートが分散したコロイド溶液が得られる。一方均一沈殿法などにより得られる層状複水酸化物(Mg-Al, Co-Al系など)を硝酸イオン型とし、ホルムアミド中で振盪すると、厚さ0.8 nm, 横サイズ数μmの水酸化物ナノシートを合成できる。酸化物ナノシートが負電荷を帯びているのに対して、水酸化物ナノシートはカチオン性である。このようにして得られるナノシートコロイドに様々なプロセシングを適用すると、ナノシートを構築単位とした多彩なナノ構造、形態を持つ材料を合成できる。例えばコロイド溶液に適当な電解質を加えるとナノシートが再凝集し、羊毛状沈殿として析出する。この過程でナノシートと添加した電解質成分が積層したナノ複合体が得られることから、その組み合わせによって電極材料、蛍光材料、光触媒などを合成することができる。また交互吸着法やラングミュア・ブロジェット法を利用するとナノシートを基板上にレイヤーバイレイヤー累積でき、ナノレベルで積層構造をデザインすることができる。このプロセスによって優れた誘電性や磁気光学特性を示す薄膜が得られる。発表では以上のような研究について最近の成果を紹介する。
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