スピンコート法などの溶液プロセスにより薄膜を作成するには、室温を含む広い温度範囲で液晶相を示す材料を合成する必要がある。そこで、分子に非対称構造を導入して結晶化を阻害することにより、単一の物質において、液晶温度領域の拡大と低温化を試みた。alkylalkynylterthiophene(3-TTP-yne-4)、および、alkylalkynylquater
thiophene(3-QTP-yne-4)を合成したところ、これらの化合物が室温以下
広い温度範囲で高次のスメクティック相を示すことが明らかとなった。また、これらの化合物は室温以下広い温度範囲で高いキャリア移動度を示した。特に、3-QTP-yne-4は室温付近で、0.1
cm2/Vsのホールの移動度を示した。この値は液晶材料としては最高の値であり、分子性結晶やアモルファスシリコンの値に匹敵する。この結果は、液晶材料でも分子構造を工夫して高次のスメクティック相を出現させることにより、分子性結晶並みの高品質な半導体を実現できることを示している。また、3-TTP-yne-4はスピンコート法、および、キャスト法により薄膜化が可能であった。一般的な分子性結晶の蒸着膜よりも大きなサイズのグレインが形成されており、欠陥密度の評価を行いながら薄膜の作成条件の最適化できれば、FETや太陽電池にも応用可能な高品質の半導体薄膜を作成できるものと期待される。
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