化学気相析出(CVD)法によるダイヤモンド合成が報告されて 以来、ダイヤモンド合成に関する多くの研究が行われてきた。 今日ではその機械的強度を利用して、工具などへのコーティ ングが実用化されている。また可視-紫外光を含む電磁波透過 性を利用して、惑星探査衛星用の窓材や、核融合炉用の強力な マイクロ波を取り出すためのジャイロトロン用窓材としても利 用されつつある。次世代パワーデバイス用のワイドバンドギャ ップ半導体材料としての研究も精力的に行われている。このよ うに「高強度」、「高熱伝導率」、「ワイドバンドギャップ」 という特性を活かして、他の材料では実現し得なかった過酷な
用途での利用が期待されている。従来、ダイヤモンドの気相合 成にはガス原料が用いられることが多い。これまでにさまざまな気相原料を用いてダイヤモンド合成が試みられてきたが、一般的には水素で希釈した炭化水素(メタン、アセチレンなど)が用いられる。通常、炭化水素の濃度は数%以下で、原料ガスの主成分は水素ガスである。そのため原料の利用効率は必ずしもよくない。それに対し筆者らは液体を直接原料に用いることのできる新しい手法を開発してきた。液体電極表面と金属電極間で直
流プラズマを発生させるのが特徴で、プラズマにさらされる液体表面から直接原料が供給されるため、液体にダイヤモンド源となる有機溶媒を使用すれば、(1)従来法の様に気化器を必要としない、(2)全てのダイヤモンド原料を液体からまかなうことができる、という利点がある。これまでエチレングリコールやグリセリンなどの、従来法では用いることのできなかった蒸気圧の低い有機溶媒を用いたダイヤモンド合成に成功している。本講演では、筆者らが開発してきた液面上プラズマ法の概要と発展について説明し、最近のダイヤモンド自立膜の合成や円柱状基板へのコーティングの成果についても報告する。


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