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2011/4/22 先端化学技術部会 講演会のご案内
変更になりました
■ お申し込みはこちらへ ■
参加費:会員・コラボレーションメンバー(登録部会講演会):無料
コラボレーション・メンバー(登録部会以外講演会):2,500円
その他法人・個人:5,000円

時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
 さて、下記の通り講演会を開催いたしますので端ご関心のある方々の
多数のご参加をお待ちしております。また、講演会終了後、講師の先生を囲んでの
懇親会を開催致します(参加費は無料)のでお時間の許される方はご参加下さい。
関係部署にもご案内いただければ幸いです。

1.日時: 2011年4月22日 3:00〜5:30pm
2.場所:

当協会会議室(新オフィスのため場所にご注意ください。)
東京都千代田区三番町2番地 三番町KSビル2F

3.講演:
講演(1):

3:00-4:30pm

講師: 有澤 光弘 氏
北海道大学大学院薬学研究院 准教授
演題: 「リーチングの無い? クロスカップリング用パラジウム触媒 「SAPd」」
要旨:

地球温暖化を緩和する為に、温室効果ガスの排出抑制を可能と
する環境調和型製造技術が求められている。太陽電池材料、
色素、医薬品の製造にPd触媒は幅広く使われているが、
高活性で繰返し使え(10回以上)、且つ、反応系内に漏洩する
Pd量の少ない(ppbレベル)固定化技術は開発なされていない。
申請者は最近、この問題を解決するPdの新しい耐熱性3R
(リデュース、リユース、リサイクル)金薄膜固定化触媒「SAPd」
の開発に成功した(J. Am. Chem. Soc. 2010,132, 7270-7272.)。

4.懇親会: 4:30−5:30

お申し込みに対しお断りする場合を除いて返信は致しませんのでご了承ください。



2011/4/15 新素材技術部会講演会のご案内
■ お申し込みはこちらへ ■
参加費:会員・コラボレーションメンバー(登録部会講演会):無料
コラボレーション・メンバー(登録部会以外講演会):2,500円
その他法人・個人:5,000円

時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、下記の通り、研究奨励金受賞報告講演会を開催いたしますので、ご案内申し上げます。
なお、講演会終了後、懇親会を開催いたしますのでご参加ください。
関係部署にもご案内いただければ幸いです。

1.日時: 2011年4月15日 1:00−5:45pm
2.場所:

当協会会議室
東京都千代田区三番町2 三番町KSビル 2F

3.講演:
講演(1):

1:00〜1:55pm

講師: 岡崎 健一氏
名古屋大大学院工学研究科結晶材料工学専攻 助教
演題: 「金属ナノ粒子の集積構造制御による広波長領域駆動光電変換デバイスの創製」
要旨:

金属ナノ構造体は、金属中の電子と光が相互作用する局在表面プラズ
モン共鳴により、照射光電場よりも増強された電場をナノ構造体表面に
誘起することができる。すなわち、表面プラズモンを利用することにより、
構造体表面に光のエネルギーを局在化するとともに、光の回折限界より
小さな領域で光制御することが可能となる。このような金属ナノ構造として、
近年、金ナノフレームが大変注目されている1)金ナノフレームは立方体
の稜のみで構成される骨格構造(フレーム)であり、広い可視~近赤外光の
広い波長領域でプラズモン共鳴を示すとともに、照射する波長に依存して
増強電場の局在する箇所が変化するという特徴を有する。このような
金ナノフレームは、これまで、銀キューブをテンプレートとしたガルバニ
置換反応により合成されてきた2)。しかしながらこの方法では、金の
析出とともにテンプレートとなる銀キューブの溶解反応が同時に進行する
ため、厳密な形状制御は困難であった。これに対して、我々は、電極上に
固定した銀キューブの頂点・稜部分に位置選択的に金を電析して、金ナノ
フレームを作製することに成功した(図1)3)。この手法では、析出電気量に
より金ナノフレームの構造を自在に制御することが可能である。また、
イオン液体に対して金をスパッタ蒸着することにより作製した金ナノ粒子を、
表面修飾を施した銀キューブに位置選択的に自発集積させることにより、
頂点・稜部分にのみ金が析出した金-銀複合ナノ粒子、さらにこれから
銀のみを溶解した金ナノフレームの作製にも成功している4)。本研究では、
このようにして作製した金ナノフレームが近赤外光に対して光応答する
ことを明確化するために、金ナノフレームが集積した基板を作製し、局在
表面プラズモンにより誘起される光電場増強場を利用して、低エネルギー
の光による光重合反応を検討した。【実験】ポリオール法5)により作製した
平均粒径130 nm の銀キューブを水面に展開し、Langmuir-Blodgett (LB)
法により、表面圧を5 mN m-1 に制御してITO 電極上に集積した。この
基板をジヘキシルジスルフィド溶液に8 時間浸漬し、銀キューブ表面を
修飾した。これを作用極として、1.4 mmol dm-3 のKAu(CN)2 を含むリン
酸バッファー(0.1 mol dm-3, pH 6.8)中で、-0.50 V vs. Ag/AgCl(sat. KCl)
の電位を印加し金を電析した。銀キューブをH2O2/H2SO4 混合酸で
酸化溶解することにより、金ナノフレーム集積基板を作製した。この基板上
に、紫外線照射により光硬化する樹脂(SU-8)をスピンコートし、金ナノ
フレームのプラズモン共鳴吸収がある図1 新規Au-Ag 複合ナノ粒子(左)
とAuナノフレーム(右)のSEM 像.800 nm のレーザー
(照射強度: 10 mW cm-2, 時間: 10 s)を照射して、光重合反応を行った。
【結果および考察】LB 法により、銀キューブを単粒子層かつ大面積でITO
基板上に集積することができた。表面圧5 mN m-1 の場合、キューブの
担持密度は16 粒子μm-2 となった(面積: 1.7 cm2)。図2 に示すような
手順に従い、この基板上の銀キューブ表面をジヘキシルジスルフィドで
修飾したのち、金を電析し、銀キューブを酸化溶解して金ナノフレーム集積
ITO 基板を作製した。平均粒径160 nm、太さ32 nm の金ナノフレームを
大面積で集積することができた。この基板の光学特性を測定したところ、
金ナノフレームの表面プラズモンに由来すると考えられる、可視〜近赤外
領域のブロードな吸収が観測され、そのピーク波長は1120 nm であった。
この金ナノフレーム担持ITO 基板にSU-8 をスピンコートした後、
波長800 nm のレーザーを照射したところ、金ナノフレームの内部において、
特異的にポリマー重合が進行した。FDTD 計算の結果から、波長800 nm
の光を照射した場合、金ナノフレームの稜の内側に電場が局在することが
わかった。このことから、近赤外光照射により金ナノフレームに誘起された
光電場増強場において、ポリマーの二光子励起反応にともなう重合反応が
進行したことが示唆された。以上のように金ナノフレームを集積したITO
基板を作製し、その光電場増強場を利用した近赤外光領域の光による
ポリマーの二光子重合反応に成功した。今後、さらに金ナノフレームを
規則的に配列するとともに、量子ドットや色素を用いた増感型太陽電池
との複合化を検討し、可視〜近赤外光の広い波長領域で駆動する
光電変換素子への応用を検討する。

講演(2) 1:55〜2:50
講師: 鷺坂 将伸氏
弘前大大学院理工学研究科機能素材工学講座 助教
演題:

「水/二酸化炭素複合系分子集合体の構築と高効率/低環境負荷技術への応用」

要旨: 1.緒言
現在,石油資源代替物の探索や環境負荷物質の削減が強く要求されて
いる。これらを解決するためのキーマテリアルに,"水/超臨界CO2マイクロ
エマルション(W/CO2μE)"がある。これは,超臨界状態のCO2中に
光合成材料の他方でもある水を分散した分子集合体であり,無極性物質
をCO2中に,イオンなどの極性物質を分散した水相中に,タンパク質などの
中間極性物質をその界面に溶解できる”環境調和(脱VOC)型の万能溶媒
(Universal solvent)”である。化学工業におけるVOCの代替としての役割
以外にも,新規ナノ材料創製の場や、水とCO2を反応させる人工光合成の
場にも利用が期待できる。工業への利用において特筆すべきことは,
解乳行程,溶媒除去行程が不要となり,工業プロセスが大幅に簡略化,
省エネルギー化されることである。これらの利点から,米国を中心に,
ドライクリーニングや,半導体や精密部品の精密洗浄,原油増進回収への
利用等が提案され、研究が進められている。本研究では,W/CO2μEの
形成制御とそれを利用した応用技術の開発を目指し,W/CO2μEの構築を
可能にする新規界面活性剤の開発,会合挙動および界面化学的物性の
評価、さらには超微粒子合成への応用を検討した。2.W/CO2μEの構築に
向けた新規界面活性剤の開発W/CO2μEの構築に向け,1990年から
200種近い界面活性剤が試験されてきたが,W/CO2μEを構築したものは
ほんの一握りであり,その水可溶化限界量(W0=[可溶化された水]/
[界面活性剤])はほとんどが10以下で,最高のものでも30程度であった。
本研究ではフッ化炭素を疎水基として利用することで,過去最大の
可溶化限界量(W0= 60)をもつW/CO2μEの構築に成功した。この
可溶化限界量は,W/O(水/油)μE系の最も高いものに匹敵する大きさ
であり,このW/CO2μEの存在は,申請者,英国ブリストル大学,
そしてISIS (Rutherford Appleton Laboratory)の共同によるSANS研究
からも証明された(図1)。しかし,残念ながらその構築は,比較的高価で
環境負荷の大きいフッ化炭素を利用していることから利用が制限される。
W/CO2μEを本当のグリーンソルベントとするべく,安価で,低環境負荷の
汎用性の高い炭化水素系界面活性剤による構築が求められているが,
W0が小さいものでさえ,成功例はわずかしか存在しない。例えば,
Bristol大学のEastoe教授らは,メチル分岐の多い二鎖型界面活性剤
AOT4がW0=10程度までのW/CO2μEを,Texas大学のJohnston教授ら
は多分岐アルキル鎖をもつPEG系界面活性剤TMN-6がW0=25程度まで
のW/CO2μEを形成したことを報告している。筆者らは,これらの界面
活性剤の可溶化限界量は,疎水基の疎水性の弱さによって低下させられ
ていると考えており,これらに変わる新たな親CO2基としてメチル分岐を
多く持つことから容易にCO2に馴染みかつ,高い疎水性も併せ持つイソ
ステアリル基に着目した。また,原料となるイソステアリルアルコールは,
安価で市販されており,化粧品材料等に利用されるように安全性も高く,
グリーンソルベントを構築するための界面活性剤の疎水基として最適と
いえる。この着想に基づき,イソステアリル基を疎水基とした界面活性剤
SIS1(イソステアリル硫酸ナトリウム)を合成し,その性能評価を行った
ところ,SIS1のscCO2中での水可溶化限界量が,炭化水素系で最高値を
有していたTMN-6の2倍,すなわちW0=50であることがわかった。しかし、
残念ながら,SIS1は,硫酸塩のため分解しやすく,また,高いW0条件で
は55oCおよび220 bar以上の温度,圧力が必要であり,高い化学的安定
性でかつ,より温和な条件(室温付近でかつ100bar程度)でもW/CO2μE
を形成するものが要求される。3.半導体微粒子合成への応用図3にW0
(界面活性剤に対する水のモル比)=12のW/CO2μEを利用して合成さ
れた金属硫化物微粒子のSEM像とZnS/SiO2複合粒子のSEM像、
CdS/TiO2複合粒子のTEM像を示す。図3の(a)ZnSの場合、25 nm程度の
均一な微粒子が形成していた。単粒子調製後,W/CO2μEの状態のまま
テトラメトキシシラン、チタニウムテトライソプロポキシドを添加することに
よって,金属硫化物コア/SiO2 or TiO2シェル複合微粒子の調製を試
みた。調製された微粒子のSEMおよびTEM像を図3に示す。図3(b)のよ
うに、ZnS/SiO2粒子では35~45 nm程度の微粒子が確認できた。
ZnS/SiO2複合粒子の動的光散乱測定結果では38.4 ± 4.5 nmという
粒子径が得られており、図3(a)のZnS粒子よりも大きくなっていることから、
ZnS/SiO2ののコア/シェル構造の微粒子の存在が示唆される。
また、CdS/TiO2複合粒子の場合(図3(c))、内側と外側でコントラストが
異なる粒子が多数観察された。このことは、調製された微粒子がコア/シ
ェル構造をもつことを支持する。 また、EDS測定により,その粒子にはCdS
とTiO2の両成分が含まれていることが認できたことから,高濃度前駆体
水溶液を含むW/scCO2μE中で、単一粒子だけでなくコア/シェル型複合
粒子の調製も可能であることがわかった。以上のようにW/scCO2μE
による微粒子製造技術は、有機溶媒を使用しないクリーンで,高効率化
(超微粒子の分離工程や脱溶媒工程の簡略化など)が達成できる製造
システムになりえることが示された。さらなる検討により,サイズコントロ
ールとともに生成微粒子以外の材料がリサイクルできる技術になれば,
本法は,従来法に確実に優る超微粒子合成技術となりえる。
休憩 2:50〜3:00pm
講演(3) 3:00〜3:55pm
講師: 道信 剛志氏
東京工業大 グローバルエッジ研究院 テニュア
演題: 「クリック型反応による有機半導体高分子の電子状態制御と薄膜太陽電池応用」
要旨: 1. 目的
有機薄膜太陽電池は低コストで大量生産可能と考えられており、環境
・エネルギー問題を解決する有望な次世代デバイスの一つである。
これまで様々なドナー分子とアクセプター分子の組合せが調べられて
きたが、その電子状態は未だ最適化されていない。本研究では、アル
キンとアクセプター分子のクリックケミストリー型高収率付加反応を用いて、
共役高分子の電子状態を制御することを目的とした。2. 結果および考察
前駆体高分子であるポリチオフェン誘導体P1 とテトラシアノエチレン
(TCNE)の反応を試験したところ、室温で定量的に反応進行し、低エネ
ルギー領域に電荷移動吸収バンドが現れた。TCNE 付加は副反応無く
進行しており、クリックケミストリーの概念と合致している。一方、P1
とテトラシアノキノジメタン(TCNQ)の反応は若干の加熱が必要であった
が、温和な条件下で定量的に付加することが分かった。TCNQ が付加
したP3 はTCNE が付加したP2よりも低エネルギー側に極大吸収を示し、
より強いアクセプター性を示唆した。アクセプター導入量が異なるP2
およびP3 を作製し、各試料のHOMO およびLUMO 準位を電気化学測定
より評価した。TCNE が付加すると付加量と共にHOMO、LUMO 共に徐々
に深くなる傾向が観測された。LUMOの低下の方がHOMOの低下よりも
大きいため、結果としてバンドギャップも付加量と共に狭幅化した。一方、
TCNQ の場合は付加量がわずかであってもLUMO の大幅な低下が観測
された。さらなるTCNQ 付加は若干のエネルギー準位低下を誘起したが、
大きな変化ではなかった。3.結論アルキンとアクセプター分子の高収率
付加反応を用いることで、共役高分子の側鎖にアクセプター部位を導入
することに成功した。アクセプター分子の種類と添加量を変化させることで、
様々なエネルギー準位を作り出すことができた。
講演(4) 3:55〜4:50pm
講師: 黒崎 健氏
大阪大大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻 准教授
演題: 「排熱を電気にかえる熱電変換 〜研究動向と材料開発の最前線〜」
要旨: 一次エネルギーの約七割を占める「排熱」を回収し「電気」として有効活用
できれば、莫大な省エネルギーが達成できる。「熱電変換」は、まさにこれ
を実現しうる技術である。現状、熱電変換システムのエネルギー変換効
率は、最大で約7%程度であり、排熱を回収し発電する熱電発電は産業化
されていない。しかしながら、熱と電気のエネルギー変換を担う「熱電
材料」の特性(熱電変換性能指数ZTと呼ばれる指標)が、既存材料の
二倍になれば、最大変換効率15%超達成の目処が立ち、近年の地球
温暖化問題と相俟って、爆発的な応用展開が期待できる。具体的な応
用分野としては、自動車からの排熱利用、工業炉からの熱利用、小型
コジェネレーション等が考えられている。本講演では、熱電発電技術の
基礎から応用、及びこれまでの研究動向を概説するとともに、我々のグ
ループが進めている高性能熱電材料の開発研究、とりわけ、高性能熱
電材料からの無毒化研究において得られた成果を紹介する。
講演(5) 4:50〜5:45pm
講師: 吉川 浩史氏
名古屋大大学院理学研究科物質理学専攻(化学系) 助教
演題: 「多核金属錯体分子を活物質とした分子クラスター電池の開発」
要旨: 近年、地球規模での環境問題やエネルギー問題などから、新しいエネ
ルギー材料の開発が急務となっている。中でも高性能な蓄電機能や
電池特性を有する物質の開拓は重要な研究課題の1つである。高性能
な二次電池を実現する上で、多核金属錯体分子(分子クラスター、図1
左端)は電極活物質として有望である。なぜならば、分子クラスターの
多電子の酸化還元に由来した高い蓄電容量だけでなく、分子の速い
酸化還元や対イオンの正極活物質への自由なアクセスに基づいた高
速充電が期待されるからである。ここでは、この分子クラスターを正極
活物質とした新しいリチウム二次電池『分子クラスター電池』(図1)に
ついてその充放電特性を述べるとともに、in situ XAFS測定による電池
反応機構の解明および分子クラスターのナノハイブリッド化による電池
特性の改良を報告する。分子クラスター電池の充放電特性[1], [2]Mn12
クラスター(Mn12O12(CH3COO)16(H2O)4)やポリオキソメタレート
([PMo12O40]3-、PMo12、図1左端)などの様々な分子クラスターを
正極活物質としたリチウム電池を作製し、定電流充放電試験を行った。
ここでは、代表的な充放電曲線として、PMo12電池のものを図2に示す。
1サイクル目の放電容量は、従来のリチウムイオン電池(約148 Ah/kg)
よりも高い約260 Ah/kgを示し、10サイクル目においても約200 Ah/kgと
1サイクル目の7割程度の容量を保持していた。また、充電(放電)時間は
約2時間であった。このように、多核金属錯体分子(分子クラスター)が
二次電池の正極活物質として機能することを明らかにし、Liイオン電池を
超える放電容量と急速充放電が実現可能であるということを示した。
In situ XAFSによる反応機構解明[3],[4]分子クラスター電池の電池反応
機構(高い容量の原因など)の解明は、電池性能の向上だけではなく、
基礎科学的にも新しい現象の発見などにつながる可能性がある。
ここでは、電池反応における分子クラスターの固体電気化学について
電池充放電中の正極材料のin situ X線吸収スペクトル(XAFS)を測定して
検討をおこなった。In situ XAFS測定用の電池セルを自作し、Mn12
クラスター電池の場合にはMn K-edge、PMo12電池の場合には
Mo K-edge XAFS測定をおこなった。Mn12クラスター電池の
in situ XANESスペクトル(図3(a))より、放電に伴い吸収端エネルギーが
低エネルギー側にシフトすることが分かった。この吸収端の位置変化は
充放電で可逆であった。吸収端エネルギーよりMn価数を算出したところ、
図3(b)に示すように、放電過程においてMn12分子が約8電子の還元を
経ることを明らかにした。同様に、PMo12電池の場合、放電過程で24
電子の還元が起きていることが分かった。クラスター分子の多電子の
酸化還元は大きな電池容量の要因であり、分子クラスター電池が高
密度・高エネルギー型の次世代電池として有望であることを示唆する。
なお、分子クラスターの高還元状態([Mn12]⇔[Mn12]8-、[POM]3-
⇔[POM]27-)は溶液中の電気化学では得ることができない化学種
(溶液中では3電子の還元までが可能)であり、分子クラスターの高
還元状態における新奇物性も期待される。分子クラスターのナノハイブ
リッド化[5]初期の分子クラスター電池では、正極材料に導電性炭素と
分子クラスターの単なる混合物を用いていた。ここでは、より効率的
な分子クラスターからの電子の取り出しを目指して、分子クラスターと
単層カーボンナノチューブ(SWNT)からなるナノ複合体の作製を試みた。
このようなナノ複合体では、活物質である分子クラスターからのスムーズ
な電子移動やリチウムイオンの素早い保持、拡散が予想され、より良い
サイクル特性と急速充電が期待される。SWNTのトルエン懸濁液とPMo12
のアセトニトリル溶液からSWNT-PMo12複合体を得た。TEM像(図4)より
SWNT上に直径1.4nmの黒い粒子が観測され、EDXによってMo元素の
存在が確認された。このことは1分子〜数分子単位でPMo12が吸着して
いることを意味する。この複合体を正極とした電池の充放電特性から、
複合化により容量が増大することが分かった。また、充放電レート依存性
を測定したところ、PMo12のみを活物質とした場合よりも2倍程度速い
充電が観測された。このような急速充放電および高容量化は、ナノカー
ボンとの複合化により、分子クラスター1つ1つから効率的に電子を取り
出すことができるようになったためと考えられる。本研究では分子クラス
ターが二次電池の正極活物質として利用できることを初めて示した。
様々な分子クラスターを用いることやナノカーボンとのハイブリッド化に
よって容易に電池性能を向上させることが可能であり、次世代電池として
の実用化など今後の展開が非常に期待される。
4.懇親会: 5:45〜6:45

お申し込みに対しお断りする場合を除いて返信は致しませんのでご了承ください。



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